「これは美味しい」と思わず口から出てしまうことがある。
人が言った時、「ほんとだ」とつい言ってしまうのだが、人の手前なのだろう。本当に美味しかったのかと考えることがある。
毎日よい材料を使い、味付けをするプロは、こんな事はないと思う。プロとアマチュアの違いは、比較しなくてもわかるのがプロ、比較しないとわからないのがアマチュアではないかと思われる。
と言っても、美味しいと感じる基準は、人それぞれ違うことである。甘味、酸味、鹹味、苦味、辛味の五味の感じ方が異なることは、なかなか修正はきかないもののようだ。
この味覚は家庭の味が、子供にインプットされてしまうので、一生付きまとうと聞く。これがその人の美味しさの基準になのだ。
美味しいお店の紹介などの場合、美味しいと決めるのは雑誌の取材をした人の基準である。
ただ、本当に自然に作った素材に、素晴らしい味付けをした時には、大半の人は美味しいと言う事は、間違いないだろうと思うが、実際問題として、そのような料理を食べられる人は特別な方だけになる。
我々には、味覚も大事だが、安いことも大事なことで、美味しい基準の中に安い美味さが幅を利かせるものだ。
皆が美味しいと言っていて一人だけ不味いと言えば、変な人、味音痴と罵られるが、それは指摘するものではないと考える。
食事には、その場の雰囲気も大きく関わってくる。楽しく話しながら食事をすれば、美味しかったと思ってしまう。
健康にも関わってくる。元気な時は何を食っても美味い。
視覚もある。綺麗=美味しそうともつながる。
感触もある。歯に触る心地よさ、やわらかい=美味しい。
美味しいと言う言葉は、幅の広いものである。これと決めることは絶対出来ないように思う。
2000年2月記
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