「洋食教本」の撮影にかかっていた頃の話だが、他の出版社の仕事で、週刊誌の裏表紙の広告写真を撮っていて、本の仕事をやらないかと言われ、承諾した。1961年の話である。
「名品訪問」生活の中の古美術観賞 秦秀雄著 徳間書店 300円
各氏の愛蔵品訪問は、安田靱匙彦、小林秀雄、鳥海青児、白州正子、広田松繁、瀬津伊之助、川瀬虎三郎、沖原弁治、瀬良陽介である。
私は、川瀬虎三郎、沖原弁治、瀬良陽介各氏の自宅に行き撮影した。高価な品々を写す緊張感は大変な物であった。モノクロ時代ではあったが無事終了した。
本が出版されて、見たときに撮影者は、中田俊之氏の名前だけだった。若いカメラマンの名前は、出してもらえないものだとあきらめていたが、幾ら撮影料を請求しても、もらえなかった。当時は相当悔しかったのか、自分が写した写真に丸をつけてある。
後に秦秀雄先生と撮影する機会があったが、それも支払いが無かった。秦先生に言ったことがある。「先生と仕事をすると、どうしてか撮影料がもらえない」先生は「すまんすまん」といっておられた。今となっては思い出深い本である。
2000年2月記
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