大のファンである。あわよくば先生の本にサインをもらえればとカバンに潜ませてお尋ねした。
あまり表情を変えられない先生ではあったが、いざ撮影となると器の絵を壊さないように盛り付けをされるのに迷われていた。
傍には、お嬢さんがおられ、「そんな盛り方をすればお茶の人に笑われるよ」と意見されていたが、先生は「これでいいんだ」とのやり取りは、日本画家の巨匠とわ思われない、普通の父親であった。
私は、先生のお宅に入れた嬉しさで、サインを求めることはしなかった。「門を潜った本だ」と満足している。

「この器この菓子」鶴屋八幡より 2000年2月記
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